Lektion 34, Text 1

第三十四課 一 女性と読書

女性が職業を持ち、その上、家族があって家事に時間をとられてしまうと、読もうと思って前から買ってある本もなかなか読めないことがあります。

私も夫もジャーナリストで、息子が二人います。毎朝出勤する前に、その日の新聞に目を通してあると仕事に便利です。けれども、いつも朝食を用意しなければならないので、私が新聞を読もうとする時は、もう大抵出掛ける時間になってしまいます。夕方疲れて帰って来ても、すぐまた夕食の準備や掃除などをしなければなりません。少しぐらいきたなくてもかまわないだろうなどと夫や息子たちは言いますが、そういうわけにもいきません。働いている女性には、読みたい本がゆっくり読める時間は本当に限られてしまいます。

一般に日本人が余暇をどのように過ごすかの統計が集めてある本を最近手に入れました。その本によると、二十歳以上の場合、女性が一日に読書に費やす時間は、平均して男性の約半分だそうです。女性の場合、暇があっても読書しようとは思わないで、つけ放してあるテレビなどをぼんやり見ながら時間を無駄に使っているので、このように読書時間が少ないというのも事実でしょう。

他方では、読もうと思っても仕事や家事に追われて読書時間がない女性もたくさんいます。私もそに一人です。これについて一度ゆっくり話し合おうと夫や息子たちに言ってあったのですが、忙しくでなかなか実現しませんでした。きのう、ドイツ民主共和国の友だちで、やはりジャーナリストのハインツ夫人から久しぶりに手紙が来ました。彼女の国では、女性が職業でも家庭でも平等なパートナーとして認められているので、家事も家族がみんなで責任を持つと書いてありました。これが本当ならば、どんなに楽だろうかとうらやましく思いました。この手紙をもらった機会に、夫や息子たちといろいろ話し合いましたが、日本でも、家族の理解と援助がなければ女性が続けるのは、ほとんど不可能でしょう。

夫も息子たちも、このことを理解しようと努力し、家事をもっと手伝おう、お母さんだけにやらせないようにしようと提案してくれました。きょう私が仕事から帰って来ると、買物がしてあり、部屋も片付いていました。よく見ると、私の靴もきれいにみがいてあり、とても助かりました。

このような家族の協力があれば、以後よりは本がたくさん読めるでしょう。こうしたことも、前から決めて実行していれば、私ももっと読書が出来ただろうと思いますが、これからでもおそくないと思っています。


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