Lektion 21, Text 1

第二十一課 一 出迎え

ケンプさんが大使館での仕事を終えてから、地下鉄の四谷駅に近い家に帰ると、ベルリンに住んでいる大学時代の友だちのシュルツさんから電報が来ていました。シュルツさんは、フンボルト大学の経済学部を卒業してから、対外貿易省に勤めていましが、六月二十日から二週間、仕事で東京に来るので、是非ケンプさんに会いたいと電報でいって来ました。

ケンプさんは六月十八日から十日間、大阪に行かなければならないので、翌日大使館に行くと、すぐ責任者と相談しました。シュルツさんが日本に来るという電報は、大使館にも来ていました。いろいろ考えてから、やはりケンプさんが東京にいて、シュルツさんを出迎える方がいいということになりました。

六月二十日には、アエロフロート航空の飛行機が、十一時ごろ成田空港に着く予定でした。ケンプさんは、シュルツさんを出迎えに、車を自分で運転して成田に行きました。空港に着いたのは、十一時ちょっと前でした。モスクワ経由で来る飛行機は、一時間遅れて到着することがわかったので、ケンプさんは空港の建物の中にある喫茶店に行ってコーヒーを能美ながら待つことにしました。途中で突然、後からだれかが声をかけたので、振り向くと、小林さんが笑いながら立っていました。小林さんは、五年ぐらい前にベルリンのフンボルト大学に留学していましたが、その当時、ケンプさんととても親しくしていました。

小林さんは、その日やはりアエロフロート航空の飛行機で、妹さんがヨーロッパ旅行から帰って来るので、出迎えに来たと話しました。久し振りに会ったので、二人は話すことがたくさんありました。特に小林さんが日本に帰国してからドイツ民主共和国について改めて考えたことなどを話すと、ケンプさんは、それを注意深く聞きながら、いろいろ意見を述べました。ケンプさんは、日本で最近一番問題になっていることなどについて小林さんに熱心に質問しました。話し合いながら待っていると、時間がとても早くたってしまいます。十二時近くになったので、二人はコーヒーのお金を払ってから、急いでホールに行くと、出迎えに来た人たちがたくさん集まって来ていて、混雑していました。

十五分ぐらい待っていると、税関の出口から、まず小林さんの妹さんが元気な様子で出て来ました。その五、六人あとから、シュルツさんが大きな手荷物を持って出て来ました。

四人はそれぞれ挨拶してから、みんないっしょにケンプさんの自動車で、シュルツさんのホテルまで行き、そこから家まで、まだ遠いので、小林さんと妹さんは、タクシーで帰りました。


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