Lektion 18, Text 1

第十八課 一 観劇

田中さんはきのう、三か月前から日本に来て、東京のある日本語学校で日本語を勉強しているドイツ人のレーマンさんといっしょに、最近、問題になって関心を集めているある日本映画を見に行く約束をしました。レーマンさんは将来ジャーナリストになって活躍したいと言っています。特に文化関係のあらゆる問題に深い関心を持っていて、田中さんとはよくいっしょに映画や芝居を見に行きます。

映画は六時から始まるので、五時半に地下鉄の銀座駅で会って、それから映画館まで歩くことにしました。田中さんが予定より十分遅れて約束の場所に来た時、レーマンさんは心配して、ちょうど公衆電話から田中さんの家に電話をするところでした。映画館に着いた時は、六時五分前でしたが、映画の切符を手に入れるために、まだ、たくさんの人たちが並んで待っていました。ちょうど六時になった時、映画館の人が出て来て、満員になってしまったので、申しわけないが、もうこれ以上切符を売ることができないと、まだ残って待っていた人たちに伝えました。

田中さんは、新宿に小さな劇場があって、そこでは、大抵ブレヒトや他の外国の芝居を見ることができるのを思い出しました。二人は急いでその劇場までタクシーで行きました。ちょうど、きょうの芝居はブレヒトの「三文オペラ」で、六時半に始まりました。日本では、働いている人たちの演劇活動が盛んで、きのうの「三文オペラ」も、若くで、演劇に関心を持っている勤労者のグループが上演しました。

もちろん、俳優がその職業ではない人たちの演技はあまり上手でない点もあって、レーマンさんは時々おかしいと思いました。けれども、みんなが熱心で、観客も、感心した時や、演技がすぐれていた時には、拍手を惜しまなかったというとに、レーマンさんは感激しました。「三文オペラ」の上演が終った後、レーマンさんは田中さんに頼んで、この若い勤労者たちの演劇グループの演出家をしている中山さんにこのような日本の演劇活動の実状についていろいろ質問する機会を得ました。この話し合いはとても興味深く、三人は夜中まで話しました。

きょう、レーマンさんが田中さんに電話で、きのうの話し合いの内容を記事に書いて、ドイツ民主共和国のある文化関係の新聞に送ったと言ってきました。


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