Lektion 27, Text 2

第二十七課 二 ある雪の日

今朝起きてカーテンを開けると、外は一面真白に雪が積り、その上、まだ降り続いていました。この二、三年は毎年冬があまり寒くなくて楽でしたが、今年は十一月の半ばごろから急に寒くなり、私の家には、セントラル・ヒーティングがないので、毎日の暖房がとても大変です。

普通は早く起きて出勤する兄が、今朝は寝坊して、ちょうど私が洗面所を使っていた時に起きてきました。ひげもそらないで大急ぎで顔だけ洗い、ネクタイをしめるのが面倒なので、ワイシャツは着ないでセーターの上に背広の上着を着、長靴でなくて普通の靴をはいて家を出て行きました。

兄が出勤時間に間に合わなくて、あわてて家を出たりするのは、今朝が初めてではありません。落着かなくていやなので、私は大抵そういう朝は、自分の部屋で髪をとかしたり、化粧したりして身支度を整えることにしています。

十五分ぐらいたった時、突然玄関の方から兄の声が聞こえました。驚いて廊下に出ると、苦笑いしながら腰に手を当てて痛そうに歩いて来る兄に出会ったのでした。兄は、家の近くの公園を横切って、その先の郵便局の辺りであまり急いで歩いていたので、凍っている道に気がつかないで、すべってころんでしまったと説明しました。その時、ひどく腰を打って、ズボンもぬれてしまい、そのままでは会社に行けないので、家に帰ってきたのだとつけ加えました。それから私に、会社に電話で少し遅刻すると連絡してほしいと頼みました。兄の会社の同僚は、あまり無理をしないで、きょうは住んだ方がいいし、医者に行く方がいいと電話で親切に忠告しました。そのことを兄に伝えると、よごれた洋服を脱ぎながら、そんな必要はないと答えました。

九時過ぎに私は家を出て、大学に行きました。雪がまだどんどん降っていましたが、傘は持たないで行きました。兄のようにすべるといけないので、気をつけて歩きましたが、傘をさしてゆっくり注意深く歩いている老人の姿が特に目立ちました。

三時ごろ家に帰ってくると、まだ兄が家にいたので、ちょっと意外でした。やはり腰が思ったよりひどく痛み、立ってよく歩けなかったので、会社を住んだと話してから、家でたばこを吸ったり、雑誌を読んだり、テレビを見たりして過ごしたのだが、病気でなくて一日中家にいるのは、とても退屈なものだと笑いながら言いました。


Weiter