Lektion 13, Text 2

第十三課 二 訪問

先週の土曜日、ドイツ人のレーマンさんが小林さんの家に遊びに来ました。約束の時間は午後五時でしたが、レーマンさんはそれよりおそく、五時二十分ごろに訪ねて来ました。

レーマン「財布を忘れてきたので、途中からまた一度お金を取りに家に帰りました。ちょうどその時、友だちから電話がかかってきたので、すっかりおそくなってしまいました。」

小林「かえってその方が私にもよかったです。きょうは急に用事ができたので、私も出掛け、ちょうど五分前に家に帰って来ました。約束の時間よりおそくなったので、とても心配でした。でも、私の家は簡単にわかりましたか。この辺は複雑で、わかりにくかったでしょう。」

レーマン「ええ。でも家で地図をよく調べてきたので、割合にすぐわかりました。この前は、中山先生の家を訪ねましたが、もっとわかりにくかったです。その時は、ちょうど雨が降ってきたので、本当に困りました。」

小林「それは大変でしたね。ところでレーマンさん、そろそろ日本の生活に慣れてきましたか。」

レーマン「ええ。食事や住居は全く平気ですが、やはり一番困難な問題は、日本語です。特に高校生などの若い人たちの日本語は実に独特で、一般的な人々の日本語よりわかりにくいですね。それから、互いに親しい人たちの間の日本語が、外国人には一番むずかしいです。」

小林「でもレーマンさんの日本語は三か月前より上手になってきましたよ。特に発音がずっと自然になってきましたね。」

レーマン「そうですか。でも、まだ時々表現がおかしいでしょう。」

小林「それは仕方がありませんよ。だんだん覚えてくるでしょう。」

レーマン「一生懸命努力しています。例えば、私にとって珍しい表現や新しい単語の使い方を系統的に集めてきましたが、もうノート一冊になりました。」

小林「随分熱心ですね。レーマンさんは英語もフランス語も上手でしょう。」

レーマン「フランス語の方が英語より好きですが、フランス語も英語も上手ではありません。やはり日本語の勉強が一番楽しいです。」

レーマンさんは小林さんと日本語や、その勉強のよりよい方法などについて話し合いました。小林さんは細かい点についてもいろいろ意見を述べました。レーマンさんは小林さんの率直な意見を何よりもうれしく思いました。外はだんだん暗くなってきました。小林さんの家からレーマンさんの下宿までかなり遠いので、レーマンさんは、残念でしたが、九時ごろ帰りました。


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