クレーマさんはきのう、川田さんといっしょに下宿を捜しに出掛けました。最初の家は、環境がクレーマさんの趣味に合わないので、断わりました。次の部屋は気に入ったので、その部屋に決めました。夕方六時過ぎに帰って来ましたが、ひどい頭痛で、気分が悪く、すぐ熱を計りました。三九度三分ありました。クレーマさんは今、イギリス人のスミスさんと同じ部屋に下宿していますが、スミスさんはとても心配しました。
スミス「お医者さんに電話をかけに行きましょうか。」
クレーマ「ええ、お願いします。それから熱でちょっと苦しいので、すみませんが、冷たい飲物を買って来て下さいませんか。」
スミス「ええ、帰りの途中で買って来ましょう。でも、どんな飲物がいいでしょうか。」
クレーマ「オレンジジュースをお願いします。」
スミス「その他に何を買いましょうか。きょうは暇があります。どうぞ遠慮しないで下さい。果物も買って来ましょうか。」
クレーマ「はい、では、りんごとなしをお願いします。」
スミシさんは電話をかけに行きました。クレーマさんは、喉がかわいたので、台所にジュースを飲みに行きましたが、ジュースがなかったので、水を飲みました。四十分後にスミスさんは帰って来ました。
スミス「公衆電話が混んでいたので、すっかりおそくなりました。ジュースには水を入れましょうか。お医者さんは一時間ぐらい後に来るでしょう。部屋の空気が悪いですね。少し窓を開けましょうか。その方が気分がよくなるでしょう。」
クレーマ「申しわけありません。私の病気でスミスさんは勉強ができないでしょう。」
スミス「いいえ、ちっともかまいませんよ。きょうはどうせ夕方からコンサートを聞きに行きます。ですから、ゆっくり寝ていて下さい。下宿のおばさんに夕ご飯のことを頼みましょうか。」
クレーマ「ええ。そうして下さい。」
一時間後にお医者さんが来ました。そして丁寧に診察しました。
医者「流感ですね。今、とてもはやっています。注射しましょう。その方が早く治りますよ。そして、きょうとあしたは、安静にしていて下さい。あさっての午後、もう一度様子を見に来ましょう。それから、これが薬です。一日に三回、食後に飲んで下さい。では、お大事に。」
きのうの夜は一晩中汗をかきました。今朝はもう熱も下がり、気分もすっかりよくなりました。