田中さんは経済学者です。そして今年の四月からフンボルト大学でヨーロッパ経済の歴史を研究しています。来年の十月までベルリンで過ごします。田中さんはよく本屋に出掛けます。そして本を買います。きょうもアレキサンダー広場の本屋で本を捜しています。ちょうどその時、知り合いのクラウゼさんに会います。
田中「こんにちは。久し振りですね。」
クラウゼ「こんにちは。何の本を捜していますか。」
田中「この前からドイツ語の文法の本を捜しています。」
クラウゼ「この店に文法の本は売っていません。ここは文化関係の本が多いです。文法の本はフンボルト大学の近くの本屋で売っています。」
田中「クラウゼさんは何を捜していますか。」
クラウゼ「日本美術の本を捜しています。」
田中「私はドイツ語の辞書を持っていません。この店に辞書は売っていますか。」
クラウゼ「さあ、よく知りません。ああ、あそこに一冊あります。でもこの辞書は私も持っています。あまり内容がよくありません。田中さん、きょうはこれから時間がありますか。いっしょにこの辺を少し散歩しませんか。」
田中「はい、ありがとうございます。でも、きょうはとても疲れています。ですから、もうそろそろうちに帰ります。」
クラウゼ「ここからおうちまで遠いですか。」
田中「はい。うちは大学からも遠いです。大学までバスと電車で通っています。約一時間ぐらいかかります。往復には、ちょっと不便です。」
クラウゼ「寮に住んでいますか。」
田中「いいえ、ドイツ人の家に下宿しています。ご主人は対外貿易省に勤めています。日本関係の仕事をしています。家族の人たちはみんなとても親切です。」
クラウゼ「私はきのうから日本についての本を読んでいます。」
田中「何の本ですか。」
クラウゼ「日本人についての本です。その本はとてもおもしろいです。あしたは。日曜日ですね。田中さんは何をしますか。」
田中「あしたは、ゆっくり休みます。」
クラウゼ「では、さようなら。」
田中「さようなら。」