Lektion 34, Text 2

第三十四課 二 日本の産業(二)

先週青木さんは、日本についていつか近いうちにいろいろ話そうと約束してくれました。きょうは東京の由緒ある日本料理屋に部屋を予約したから是非来てほしいと青木さんから電話があったので、ランゲさんは夕方の七時ごろから出掛けて行きました。そこに着くと、女主人が丁寧におじぎをして出迎えてくれました。部屋にはお酒や食事が用意してあり、青木さんも、もう来ていました。簡単なあいさつをした後で、すぐ食事をしながら話し入りました。

ランゲ「春と秋のライプチッヒ国際見本市には日本も毎年参加しています。日本展示会場には最新の電気・電子工業や化学工業の製本が展示してあり、注目を浴びています。科学技術の面で、日本との交流は今後もますます深まるだろうと期待されますが、日本の産業構造の特徴は、一言でいえば、どんな点が重要でしょうか。」

青木「民主経済がどのような産業を中心に営まれているかを見れば、大体つかめるでしょう。普通、国民所得の統計によると、産業は大きく三つに分けられます。農業・林業・畜産業・水産業などの第一次産業、鉱業・製造業・建設業などの第二次産業、商業・運輸通信業・金融保険業・公務・自由業、その他のサービス業などの第三次産業です。日本では戦後、特に第二次、第三次産業の比重が大きくなってきています。この傾向が当分は変らないということは、疑う余地もないでしょうね。」

ランゲ「そうしますと、農業物などは、主に外国からの輸入に依存することになってしまいますね。」

青木「そうですね。農業のことは、また後でお話ししようと思いますが、工業でも、軽工業より重化学工業がますます重視されるだろうと思います。日本経済の急速な発展に伴って、特に工業部門での雇用は、その内容が戦前とは大きく変ってきました。技術革新によって、より精密で性能のよい機械が使われるようになりました。労働の強化が単調な肉体的重労働を意味する割合は、これからも減るでしょう。その代りに、勤労者は常に新しい技術を習得し、それに早く熟練しなければなりません。こうして何よりも仕事の能率が重んじられるようになります。ですから、中年以上の人々が仕事を変えようとか、新しい職業訓練を受けようと思っても、なかなか混雑です。労働組合なども、こうした雇用の面での新しい社会問題を解決するように政府や経営者に要求していますが…。」

それから二人は失業や不況などの問題についても話し合い、更に、青木さんはランゲさんにいろいろな資料を集めてあげようと約束しました。